アクロポリスの丘

環境に優しい選択肢

光ファイバーインターネット

光ファイバーインターネットとは

光ファイバーインターネットとは、光ファイバーという細いガラスの繊維を使って、光の信号でデータを送受信するインターネット接続方式です。光ファイバーインターネットは、高速で安定した通信が可能で、長距離でも通信品質が低下しないというメリットがあります。また、環境に優しいという特徴もあります。

光ファイバーインターネットの歴史

光ファイバーインターネットの歴史は、光ファイバーの歴史と密接に関係しています。光ファイバーは、1960年代に提案された技術で、1970年に米国Corning社のKapronらが伝送損失20dB/kmの石英(SiO2)ガラス光ファイバーを報告しました。これは、光ファイバー通信の実用化への一歩となりました。

1970年代には、米・欧・日で光ファイバー用母材の製法開発が進められ、伝送損失は1979年には0.20dB/kmにまで改善されました。1980年代には、長距離基幹網で光ファイバーの実用化が本格的に始まりました。1990年代には、光ファイバー増幅技術と波長多重伝送技術により光ファイバー通信の高速大容量化が加速されました。

2000年代に入ると、インターネットの普及や各家庭まで光ファイバーが届くアクセス網の構築が進みました。また、スマートフォンの登場による情報爆発や中国市場の急成長で光ファイバー需要は急伸しました。2010年代には、デジタルコヒーレントという革新技術が登場し、データセンターや海底ケーブルなどにも適用されました³。2020年3月からは、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが開始され、超高速通信や多数同時接続などを実現するために光ファイバーインフラが重要な役割を果たしています。

光ファイバーインターネットの普及率

OECDによると,我が国の固定系ブロードバンドに占める光ファイバーの割合やモバイルブロードバンド普及率(100人当たりのモバイルブロードバンド契約者数)は世界トップレベルであり,我が国のデジタルインフラは,国際的にみても普及が進んでいると言えます 。

図表1に,OECD加盟国の固定系ブロードバンドに占める光ファイバーの割合を示します。2020年6月時点で,我が国は約80%と最も高い割合を示しています。次いで韓国が約77%,スウェーデンが約66%と続いています。

 

図表1 固定系ブロードバンドに占める光ファイバーの割合(2020年6月)

国名 光ファイバーの割合(%)
日本 79.8
韓国 77.3
スウェーデン 66.3
リトアニア 64.4
ノルウェー 60.9
スロベニア 58.7
スペイン 57.8
フランス 53.5
ポルトガル 52.9
アイスランド 51.2

出典:OECD Broadband statistics

 

図表2に,OECD加盟国のモバイルブロードバンド普及率を示します。2020年6月時点で,我が国は約178%と最も高い普及率を示しています。次いでフィンランドが約172%,オーストラリアが約156%と続いています。

 

図表2 モバイルブロードバンド普及率(2020年6月)

国名 モバイルブロードバンド普及率(%)
日本 178.1
フィンランド 172.4
オーストラリア 156.3
デンマーク 152.7
米国 151.8
韓国 149.9
スウェーデン 147.5
エストニア 146.4
オランダ 144.2
イギリス 143.9

出典:OECD Broadband statistics

光ファイバーインターネットの今後の展望

光ファイバーインターネットは,今後も高速で安定した通信を提供する重要なインフラとして発展していくと考えられます。特に,5GやIoTなどの新しい技術やサービスの普及に伴って,通信量や通信品質の要求が高まることが予想されます。そのため,光ファイバーインターネットの更なる高速化や大容量化,低遅延化などの技術的な進化が求められます。

また,光ファイバーインターネットは,海底光ファイバーケーブルを通じて世界各地とつながっています。海底光ファイバーケーブルは,国際的なデータ通信の大部分を担っており,グローバルな情報社会の基盤となっています。しかし,海底光ファイバーケーブルは,自然災害や人為的な損傷などによる断線のリスクがあります。そのため,海底光ファイバーケーブルの敷設や保守管理にも注力する必要があります。

さらに,光ファイバーインターネットは,環境に優しいという特徴も持っています。その理由は以下の通りです。 光ファイバーは電気を使わないので、電力消費や発熱が少なく、CO2排出量も減らせます。 光ファイバーはノイズの影響を受けにくいので、通信品質が高く、再送信やエラー訂正などの余分な通信が減ります。 光ファイバーは伝送損失が少ないので、中継装置や増幅器などの電力を消費する機器が少なくて済みます。 以上のように、光ファイバーインターネットは、電気を使わないことや通信効率が高いことから、環境に優しいインターネット回線と言えます。

 

(1) 総務省|令和3年版 情報通信白書|通信インフラ. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd102100.html.

(2) 光ファイバ:半世紀の進化と最新動向 総合報告 金森 弘雄 - J .... https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/91/4/91_205/_pdf/-char/ja.

(3) 光ファイバー - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC